AI×留学体験記

留学、機械学習、AIに関する東大生によるブログ。

アメリカの統計学はデータサイエンス?? ~アメリカと日本の授業の違い~

授業が始まり1週間と少ししか経ってないですが、アメリカの授業の様子や内容を赤裸々に報告していきたいと思います。

 

  •  授業紹介

(*R,SASなどはデータ分析用のプログラミング言語になります。)

【STAT 385】Statistics Programming Methods  (50分*3コマ)

R,Git Hubなどを使ってとにかくプログラミングをしようという授業。Webスクレイピングやデータの前処理などを詳しくやります。骨の折れる授業です。チームでデータ分析を行いプレゼンテーションを最後にする必要があります。

【STAT 429】Time Series Analysis  (70分*2コマ)

時系列データの分析の理論を勉強すると同時にRを使って実際のデータの分析も行います。東京大学では計量経済学の授業でクロスセクションデータの分析方法を学び、時系列データは少ししか勉強していなかったのでとりました。今回履修している授業の中で一番数学を使います。

【STAT 448】Advanced Data Analysis  (50分*3コマ)

SASをつかってデータの前処理やANOVA,単回帰、重回帰、PCA、クラスター分析、判別分析などを行う授業になります。最後にはチームでデータ分析を行いプレゼンテーションをする必要があります。結構、実践的な内容で毎回楽しく授業を受けています。

【STAT 450】Methods of Applied Statistics  (50分*3コマ)

Rを使って一般化線形モデルや分割表、Model Diagnosisなどを行う授業になります。

 

  •  授業履修の仕組み

STATとはSTATISTICSの略であり自分のとる分野の略称が授業名につきます。385や429はレベルになります。大まかな目安ですが、100番代が1年生レベル、200番代が2年生レベル、300番代が3年生レベルといった感じです。しかしあくまで目安であり200番代に難しい授業があったりします。

400番代は基本的にどの授業もPrerequisitがあります。その前提要件を満たしている前提で授業は進みます。とはいえ、教授は前提要件を満たしているかなどいちいち確認しないですし、チャレンジしたいなら高いレベルをチャレンジすることは可能です。

上の4つの授業はどれも最初は留学生は履修できない授業でしたが、授業の初日になると諸々の制限が解除されるので、そのときに履修しました。また、Adviserに相談して履修の許可を得た授業もあります。

 

  1. 授業だけでは宿題が解けない

授業では理論をさらっとふれるだけで、詳しく説明はしません。宿題が毎回出るので、それを補助資料などを使って解きながら学んでいく形式です。授業のレベルが違うのかと思っていましたが、そんなことはなく、授業を教えるのが下手な教授もいます。授業の質が高いのではなく、教授が学生に求めるレベルやベクトルが違うという表現が正しいかなと思いました。

 

    2. 宿題が多い

授業は東大の105分と比べると短く物足りなく感じますが、宿題の分量はとても多いです。どの授業も毎週宿題を課し、問題量も多いです。勉強の習慣がついてないと大変かもしれないです。

 

   3.アジア系の人が比較的多い

比較的国籍豊かな大学なのもありますが、他の学部と比べると統計学はアジア、インド系の学生が多いです。教授も中国系の人で、中国に留学にきていると錯覚するような授業もあります(笑)

 

   4. 数学も使うけど、それよりもプログラミング言語

正直言うと、数学は東京大学の方が上です。ここにきてから誇りに思っています。しかし、実用性はアメリカの方が上かなと思います。もちろん、日本の授業にも実際のデータを扱って分析する授業はありますが、アメリカの統計学はほぼ全ての授業で実際のデータの分析をプログラミングを用いて行うことが求められます。「理論<実践」という感じで統計学というよりはデータサイエンス(統計学よりコンピューターサイエンスを使うし、コンピューターサイエンスより統計学を使う)という感じが強いです(笑) 

僕は実践をしたくて留学にきたので、授業に非常に満足しています。

 

5. レクチャーは基本日本と同じ進め方

レクチャーは基本的に教授主導に行われています。ここは全く日本と変わらなかったです。違いがあるとすれば、質問があるか教授が聞くと日本と違い質問をする学生が多いです。あと、基本的にみんな授業を聞いています(笑)

 

*イリノイ大学の学生に日本の慶應大学に留学に行っていた人がいました。その人の質問が興味深かったので載せておきます。

LaTex(数式やレポート作成のためのシステム)での提出が求められていたけど、R Markdownを使って良いか教授に聞いたら、教授がR Markdownを知らんかったんだよね。非常に優秀な教授だったけど、これで良いと思う?」と聞かれました。R MarkdownはRに搭載されているRのコードやTexコードを打てるレポート作成用の環境です。僕もこちらの授業で教わって初めて知りました。とても便利です。

日本の勉強スタイルや教授が求めるものは全然悪いとは思いませんが、テクノロジーをあまり活用していないのは良いことなのだろうかと、ふとこの質問で考えさせられました。明らかにテクノロジーへの感度はアメリカの方が高いと感じています。みなさんはどう思うでしょうか。。

 

*他の学部の授業の様子などは後日紹介できたらよいなと感じております。